「わいせつ」って何

ネットでのわいせつ画像に関係する事件
ブログにわいせつ画像を公開して逮捕
2015年11月26日、ブログにわいせつな画像を公開していたとして、ブロガー13人が逮捕されたのこと。(詳細は下記の引用記事ご参照)
ブログにわいせつ画像 ブロガー13人逮捕
広告収入を得るためにわいせつ画像を載せていたとして、いわゆる「ブロガー」13人が全国一斉に摘発された。
わいせつ電磁的記録記録媒体陳列の疑いで警視庁などに逮捕されたのは、会社員・橋本公男容疑者(41)ら13人。捜査関係者によると、橋本容疑者らは、自身のブログにわいせつ画像を載せた疑いが持たれていて、アダルトサイトのバナー広告を出し、広告収入を得ていたという。
摘発されたブロガーは、いずれも匿名性が高い海外サーバーを使ったサイトを利用していて、警察庁は、これらのサイトがサイバー犯罪の温床になっているとみて警戒を強めている。
引用元:日テレニュース24
逮捕された13人は匿名性が高い海外サーバーにアダルト広告のサイトをつくり、わいせつな画像を貼ってアフィリエイトでの広告収入で稼いでいたことが悪質ということで逮捕となったらしいです。
今回の逮捕は、茨城県警を中心に、北海道警や福島県警、警視庁、愛知県警などの18都道府県の県警が一斉に動く大掛かりな捜査だったということ、また、日本サイバー犯罪対策センター(JC3)が開発したソフトを利用したとのことが今までとは異なる点です。
JC3のソフトでは、海外サーバーを利用、海外のわいせつサイトにつながるバナー広告を表示、わいせつな画像を掲載を判別し、約2,000の対象サイトが抽出されました。11月25日には全国65ヶ所が一斉捜索となり、今回の13人の逮捕となりました。逮捕の理由は、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列の容疑です。
Twitterにわいせつ画像を投稿して逮捕
わいせつ画像大量公開 ツイッター自動投稿サービス悪用…容疑の男「広告収入上げるため」
「ツイッター」を自動で投稿するサービスを悪用し、わいせつ画像を大量に公開したとして、警視庁杉並署は、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列容疑で、東京都渋谷区上原のIT関連会社役員、長岡正尚容疑者(32)を逮捕した。同署によると「広告収入を上げるためにやった。法律に触れると思わなかった」と供述、自動投稿サービスを悪用したわいせつ画像の投稿事件を摘発するのは全国で初めて。
同署によると、長岡容疑者はツイッターの自動投稿サービス「twittbot(ツイボット)」で、わいせつ画像が30分おきに投稿されるよう設定。これまでに100枚以上を投稿したとみられる。投稿には有料サイトに誘導するURLも記載されており、URLをクリックすると長岡容疑者に広告収入が入る仕組みだった。
逮捕容疑は6月1~3日、2つのツイッターアカウントでわいせつ画像4枚を公開したとしている。
引用元:産経ニュース
Twitterで100以上のアカウントを作り、botを使って無修正画像を定期的にツイートするようにし、自分のサイトに誘導してアフェリエイトでの広告収入を得ていたとのことです。
この2つの事件はどちらも「わいせつ電磁的記録記録媒体陳列容疑」で逮捕となっています。
そもそも「わいせつ」って何?
日本の法律では
わいせつ電磁的記録記録媒体陳列とは、刑法175条 わいせつ物頒布等で以下の通り規定されています。
(わいせつ物頒布等)
第175条
- わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
- 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。
ですが、肝心のわいせつとは何かについては刑法では定義しません。
わいせつとは何か?といえば、1951年5月10日、サンデー娯楽事件の判決で最高裁が示した「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反する」というのが、専ら現在の「わいせつ」の定義となっています。
いわゆる「わいせつ3要件」というものです。
- いたずらに性欲を興奮または刺激すること
- 普通人の正常な性的しゅう恥心を害すること
- 善良な性的道義観念に反すること
違法性の所在
やっかいなのは、この「わいせつ」というのが時代や社会通念で変化するものであり、前述の3要件だけでは非常に曖昧で漠然として、一体どこまでがOKでどこからがダメなのかがハッキリとわからないということです。
これまでの逮捕例からいえるのは、局部が写った無修正の画像は一発アウト。送信先サーバが海外だろが関係なく日本国内から送信した時点でアウトだということです。枚数の多い少ないは関係ありません。1枚でもアウトはアウトです。
また、性器が見えていなくてもアウトになる可能性がゼロではありません。下着等の着衣を身につけている場合は概ねセーフだと判断していますが、それでも極細のTバックで局部がはみ出している場合は間違いなくアウトです。
尚、モザイクをかける場合はセーフですが、モザイクがけが甘いのは要注意です。実寸大の画像ではモザイクがかかっていても、サムネイル画像では縮小されてモザイクがかかっていないように見えるためアウトとなります。
参考情報として、インターネット・ホットラインセンターのサイトにある「対象となる違法情報についてのFAQ」より、一部抜粋します。
1) 性器を描いた漫画やアニメをインターネットで公開している場合、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列になるのでしょうか。
実際の性器を撮影した写真等のほか、イラスト等についても、性器を詳しく、あからさまに描いており、「性器が明確に確認できる」といえる場合には、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列に当たります。
2) 女性のスカートの中や女子更衣室の内部を盗み撮りした画像を掲載しているホームページがありますが、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列になりますか。
ホットライン運用ガイドライン上、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列とされるのは、「性器が明確に確認できる」画像等が掲載されている場合に限られます。したがって、ご質問の画像が、性器が明確に確認できるものでない場合には、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列には当たりません。
3) 性器にモザイクがかけられていたり、色反転処理がされたりしていればわいせつ電磁的記録記録媒体陳列にはならないのでしょうか。
性器部分にモザイクがかけられている画像等であっても、そのモザイクが薄い、簡単に外せるといった理由により、性器が明確に確認できるといえる場合には、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列に当たる可能性があります。また、画像の性器部分に色反転処理が施されているにすぎない場合は、その画像を再度色反転して表示させることにより、簡単に元の画像を確認することができるため、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列に当たります。
引用元:インターネット・ホットラインセンターより一部抜粋
当局の捜査においては、捜査官が「わいせつ」に相当するものがあると判断したら逮捕となり、最終的に白か黒かを判断をするのは、前述の3要件に基づいて裁判官が決めるのです。
無修正は絶対にNGです
今回の事件の逮捕者は「まさか自分が逮捕されるとは思わなかった」と言っていたとのことです。
昨今では誰でも簡単にSNSで画像公開できることから、Twitter上でも無修正の画像をツイートしていたり、プロフィール画像が局部そのものだったりする方をたまに見かけます。
ネットでの匿名性はありません。他の人がやっているから自分は大丈夫という保証もありません。
無修正の画像は無条件にアウトなので、絶対にアップしないこと、既にアップしている方は即座に削除したほうがいいですね。
あと、今回の事件後からか、従来よりアダルトに寛容だったFC2ブログにおいて、アダルト系の特定のワード(FC2側でどうもNGワード設定をしたらしい)を使用する記事が公開できないという事象がでているようです。FC2ブログを利用中の方は、そろそろ違うサーバの検討をした方がいいかもしれません。